日常生活やビジネスシーンにおいて、些細な誤解が大きなトラブルに発展することはよくあります。友人や家族、同僚との会話が、最初は小さなすれ違いから始まり、気づけば深刻な対立にまで発展してしまうことも少なくありません。特にビジネスの場面では、誤解がプロジェクトの進行やチームの士気に悪影響を与えることもあります。そんな時に役立つのが、イエス・ワット・テクニックです。この方法は、相手の意見を肯定しながら、その内容をさらに深掘りすることで、誤解やすれ違いを未然に防ぎ、共通の理解を得るための手法です。この記事では、イエスワット法の基本的な使い方や、日常生活やビジネスシーンでの応用方法を解説します。イエスワット法とは?イエスワット法は、相手の意見を肯定し(Yes)、さらに「具体的には?」「他には?」(what)といった質問を使って、話を深掘りするコミュニケーション手法です。これにより、誤解や勘違いを防ぎ、より具体的な理解を得ることができます。この手法は、NLP心理学で用いられる「チャンキング」という技術に基づいています。チャンキングは、情報を小さな塊(チャンク)に分けることで、理解を深める方法です。イエスワット法では、「水平チャンク」と「チャンク・ダウン」の2つのテクニックを駆使して、相手との意思疎通を円滑にします。水平チャンクの活用法水平チャンクとは、同じレベルで他の意見を引き出す方法です。「他には?」などの質問することで、相手の別の視点やアイデアを聞き出すことができます。これにより、選択肢が広がり、共通点や妥協点を見つけやすくなります。たとえば、「お寿司が食べたい」という相手に「他には?」と質問すると、「焼肉もいいかも」と別の選択肢が出てくる可能性があります。チャンク・ダウンの活用法チャンク・ダウンとは、具体的な質問を投げかけて、相手の意見を詳細に掘り下げる方法です。「具体的には?」など尋ねることで、相手の考えを明確にし、誤解を防ぐことができます。たとえば、「お寿司が食べたい」という相手に「具体的にはどんなお寿司?」と質問すれば、「スシローがいいな」と具体的な答えを得ることができます。あわせて読みたいチャンク思考法で複雑な問題をシンプルに解決するイエスワット法の使い方イエスワット法は、相手をより深く理解したい時、すれ違いや誤解を避けたい時、または相手と自分との共通点を探りたい時に非常に有効です。この手法を使うことで、コミュニケーションの精度が高まり、よりスムーズな対話が可能になります。基本的な使い方イエスワット法の基本は、「イエス」と「ワット」の2つの要素を使うことです。以下にその具体的な手順を示します。肯定する(Yes)相手の意見や提案に対して、まずは肯定的な反応を示します。「それはいい考えですね」といった肯定的な言葉で相手の意見を認めることで、対話の基盤を作ります。具体的に掘り下げる(what)肯定の後に、具体的な情報や詳細を引き出すための質問を投げかけます。ここで使うフレーズには、「具体的には?」や「他には?」などがあります。このステップで、相手の意見や提案をより深く理解し、具体的な内容を明確にします。具体的な活用例 会話の深掘り例えば、ビジネスミーティングでの提案に対して、まず「それは良いアイデアですね」と肯定し、その後「具体的にはどのように実施するつもりですか?」と質問することで、提案の詳細が明確になります。これにより、理解が深まり、実行可能なプランへとつながります。誤解を防ぐ友人との会話で、相手が言ったことに対して「それは面白いね」と応じた後、「他にはどんなことがあった?」と追加の情報を求めることで、最初の発言の意図を正確に把握し、誤解を防ぐことができます。共通項を探る新しいプロジェクトの提案を受けた際、「それは素晴らしいです」と応じた後、「このアイデアには具体的にどのような目標がありますか?」と聞くことで、共通の目標や価値観を見つけることができます。これにより、プロジェクトの方向性が一貫したものになり、チーム全体の理解が深まります。このように、イエスワット法を活用することで、対話がより具体的かつ有意義なものとなり、誤解やすれ違いを未然に防ぐことができます。イエスワット法の活用例日常生活からビジネスシーンまで、イエスワット法を効果的に使えるシーンは数多くあります。ここでは、その活用例をいくつか紹介します。日常の会話シーン相手: 「今週、外食したいな。」あなた: 「いいね(Yes)。具体的に(what)どこに行きたいの?」相手: 「イタリアンレストランがいいかな。」あなた: 「イタリアンもいいね。他には(what)何か候補ある?」相手: 「和食もありかな。」ビジネスシーン相手: 「このプロジェクト、進捗が遅れている気がします。」あなた: 「そうですね(Yes)。特に(what)どの部分が遅れていますか?」相手: 「デザイン作業が思ったより時間がかかっています。」あなた: 「それも大事ですね。他には(what)何か問題があると感じていますか?」相手: 「コミュニケーションが足りないかもしれません。」恋人同士の会話シーン相手: 「どこか旅行に行こうか?」あなた: 「そうだね(Yes)。具体的に(what)どこに行きたい?」相手: 「沖縄のビーチとかいいかも。」あなた: 「いいね。他には(what)行きたい場所ある?」相手: 「京都で歴史的な場所を巡るのも楽しそう。」家族との会話シーン親: 「週末、家族で何かしたいね。」あなた: 「そうだね(Yes)。具体的に(what)何がいいと思う?」親: 「家で映画を見ながらリラックスするのはどう?」あなた: 「それもいいね。他には(what)何か考えてる?」親: 「公園でピクニックするのも良さそう。」友人との旅行計画シーン友人: 「旅行に行きたいな。」あなた: 「いいね(Yes)。具体的に(what)どこに行きたい?」友人: 「温泉地でのんびりしたいな。」あなた: 「いいね。他には(what)考えている場所はある?」友人: 「ハワイのビーチでリラックスするのも良さそう。」このように、イエスワット法は日常のちょっとした会話から、ビジネスや家族、友人とのやり取りに幅広く応用できます。そして、「具体的には?」と「他には?」の両方を組み合わせることで、相手の意図をより深く理解し、さらに多くの選択肢やアイデアを引き出すことができます。まとめイエスワット法は、相手の意見を肯定(Yes)したうえで、話を深掘りするテクニック「他には?」の質問で水平チャンクする「具体的には?」の質問でチャンク・ダウンするイエスワット法を使うことで、相手をより理解したり、すれ違いを避けられるオススメ関連記事イエスソーザット法で対話を自分のペースに持ち込む方法メラビアンの法則を理解して、伝わるコミュニケーションを実現する