「私は他人のことを理解できない」という悩みを抱える人は少なくありません。それに加え、「自分の考えが定まらない」「自分の価値観が曖昧だ」「自分に自信がない」と感じることもあるでしょう。実際、私たちが他人を理解するには、まず自分を理解することが重要です。自分の思考や行動の根源にあるものが何かを知ることで、他人に対する接し方や捉え方も変わってきます。この記事では、クライアントRさんとのセッション実例を共有しながら、他人との関係に悩むあなたが、まず自分を見つめ直し、自己理解を深めるための方法を探っていきます。自分の内面にアクセスし、そこから解決策を見つけ出すステップを一緒に学んでいきましょう。「他人を理解できない」感情の根源とは?「他人を理解できない」という感情は、実は自分自身のアイデンティティに対する迷いから生じることが多いです。多くの場合、私たちの内面には、自分を守るために作られた固定観念や思い込みが存在します。これらは、無意識のうちに自分の行動や思考に影響を与え、他人との関係にも影響を及ぼします。クライアントのRさんも、「私は他人のことを理解できない」という悩みを持っていました。しかし、彼女がさらに深く自分を見つめることで、この感情がどこから来ているのかを理解し始めました。Rさんがここまで辿り着くまでのセッション内容はこちらからご覧になれます。心の余裕を持つには?長続きする精神的余裕の作り方と失わない秘訣(1回目のセッション)心が狭い、器が小さい自分が嫌になる…すぐ克服できるシンプル思考法(2回目のセッション)一般的な他人を理解する方法は役に立たない他人を理解することは、自己理解と同じくらい重要だといわれています。確かに、人間関係を円滑にするためのスキルとして、他人を理解する力は重要です。しかし、一般的に言われている「他人を理解する方法」が実際には役に立たない、あるいは表面的なものに過ぎない場合もあります。以下に挙げるのは、よく知られている他人を理解する方法ですが、これらのアプローチは必ずしも効果的とは限りません。相手の話を積極的に聴く「相手の話をしっかり聞くことが他人を理解するための第一歩」というアドバイスはよく聞きます。しかし、ただ話を聞くだけでは相手の深層心理や本心を理解するのは難しいものです。人は必ずしも言葉通りのことを話すとは限りません。表面的な言葉の裏に隠された本音を見抜くことが重要ですが、それは積極的なリスニングだけでは解決しないこともあります。共感の姿勢を持つ共感することは他人を理解するための一つの手段ですが、共感だけでは不十分な場合もあります。相手の感情に寄り添うだけでは、相手の行動の真の動機や考え方の背景にまで到達するのは難しいでしょう。さらに、過度な共感は、自分の感情や視点を見失うことにもつながるため、逆効果になることもあります。ボディランゲージを観察するボディランゲージは、相手の感情や意図を理解するための重要な手がかりとされていますが、非言語的なサインも必ずしも信頼できるわけではありません。人はさまざまな理由で、意識的に自分の感情を隠したり、誤ったシグナルを送ることがあります。ボディランゲージの観察だけで他人を完全に理解するのは難しいでしょう。質問する質問をすることで相手の考えを理解することはできますが、質問の仕方によっては、相手が自分の本当の気持ちや考えを明かさないまま、表面的な答えを返してしまうこともあります。質問は相手の防御を強めるリスクもあるため、慎重なアプローチが求められます。判断を避ける判断を避けることが、他人を理解するために有効だとされています。しかし、全ての判断を避けることで、相手の意図や行動の意味を正確に掴むことができなくなる場合もあります。相手を理解するためには、時には判断を下すことも必要であり、それを避け続けると、相手の本質を見失うことにもつながります。一般的に紹介される他人を理解する方法は、表面的なコミュニケーションには役立つかもしれませんが、深い理解を得るためには限界があります。なぜなら、他人を本当に理解するためには、これらの方法を超えて、もっと自己理解が必要だからです。あわせて読みたいプロが教える傾聴の使い方|信頼される人がやっている3つの聞き方自己理解を深める質問自己理解を深めるための第一歩は、自己対話をすることです。「私は〜だ。なぜなら私は〇〇だから」という問いかけを繰り返すことで、心の奥深くにある本質的な考えに辿り着くことができます。Rさんは、「私は他人のことを理解できない」と考えていましたが、以下のような自己対話を行うことで、自分の内面にあるもっと深いビリーフ(信念・価値観)に気づきました。私は他人のことを理解できない。なぜなら私は相手への接し方がわからないから私は相手への接し方がわからない。なぜなら私は相手の気持ちを察することができないから私は相手の気持ちを察することができない。なぜなら私は他人に興味がないから私は他人に興味がない。なぜなら私は我が強いから私は我が強い。なぜなら私は芯がないから最終的にRさんは、「自分には芯がない」と感じていたことに気づきました。こういった自分そのものを表すビリーフをコア・ビリーフといいます。このようなプロセスを通じて、Rさんは自分の本当の悩みの根源を見つけることができたのです。あわせて読みたい理想の自分になる方法|コアビリーフを知れば理想の人生が手に入る気づきから変化へ|自己理解を深めるステップコア・ビリーフを手放すためには、まずそのビリーフが本当の意味での「真実」ではなく、単なる思い込みに過ぎないと気づくことが必要です。この気づきが、変化への第一歩となります。多くの人にとって、無意識のうちに抱いているビリーフがどれほど自分の行動や感情に影響を与えているか、気づくことは容易ではありません。しかし、自己理解を深め、変化を起こすためには、この内省のプロセスが欠かせません。そこで、次のような問いかけを使って、自分が信じてきたビリーフを再評価してみましょう。それは本当に真実だろうか?そのビリーフが正しいと証明できる具体的な証拠はあるだろうか?他の人にとっても、それは真実だろうか?そのビリーフが当てはまらなかった状況や、例外的な経験はないだろうか?これらの質問を通じて、あなたは自分のビリーフに対する盲目的な信頼を疑い、より柔軟な視点を持つことができます。Rさんの気づきと変化のプロセスRさんのセッションでも、こうした質問を通じて、いくつかの重要な気づきを得ました。実際には、自分の意思で物事を決めてこれていた。素敵だと思うもの、楽しさ、嬉しさを大事にしてこれた。それは、「私には、芯がない」と感じてたからこそ、逆に強い意志を持って行動する意識ができていたのかもしれない。でも、それはただの思い込みで真実ではないし、これからも持ち続ける必要はないですね。Rさんは、当初「私は芯がない」と思い込んでいました。しかし、実際にはそのビリーフが自分を守るために作られたものであり、それが真実でないことに気づくことで、ビリーフの手放しに成功しました。この気づきから、Rさんは変化へのステップを踏み出し、新しい視点で自分を見つめ直すことができるようになりました。このプロセスは、自己理解を深めると同時に、よりポジティブな自己認識を築くための大切な一歩です。新たな視点での行動|ポジティブな変化を促す方法否定的なコア・ビリーフを手放すだけでなく、新しい視点から行動するためには、ポジティブな変化を促す方法を取り入れることが大切です。新たな視点は、これまでの固定観念を打ち破り、自己成長をサポートするための強力なツールとなります。Rさんは、セッションを通じて「私は柔軟性があるから、人のことを理解できる」という新しいビリーフをインストールしました。これは、過去の「芯がない」や「我が強い」という思い込みから脱却し、柔軟性を活かした行動をとるためのポジティブな変化への第一歩です。ポジティブな変化を促すための具体的な方法新しいビリーフをインストールする否定的なコア・ビリーフの代わりに、新しい肯定的なコア・ビリーフを考えます。新たなビリーフは、そこに一切のネガティブな要素を感じられないものにします。「私は○○から、~できる」という形式で、できるだけシンプルに表現します。新しいビリーフに基づいた行動を意識的に取る新たなビリーフがインストールされたら、それに基づいて行動することが大切です。Rさんの場合なら、「柔軟性」を意識し、他人を理解しようとする姿勢を持ち続けることが求められます。日々の生活や人間関係で、これまでの固定観念ではなく、柔軟な対応を心がけることで、ポジティブな変化が加速します。ポジティブなセルフトークとアファメーションの活用新たなビリーフを定着させるためには、日常的にポジティブなセルフトークやアファメーションを行うことが効果的です。例えば、「私は柔軟性があるから、人を理解することができる」といったフレーズを、毎朝や日々の生活の中で繰り返し唱えることで、潜在意識に新しいビリーフを深く根付かせることができます。新しい視点から状況を見つめ直すこれまでとは異なる視点で物事を見ることで、新しい選択肢や可能性に気づくことができます。たとえば、過去に問題だと思っていたことでも、新たなビリーフでの視点を持つことで、解決策が見つかったり、状況が好転することがあります。Rさんは、この新しいビリーフを活かし、柔軟性を持って行動することで、人間関係や自己成長においてポジティブな変化を引き寄せることができました。新しい視点からの行動は、自己理解を深めるだけでなく、人生全体に良い影響を与える大切なプロセスです。日常でのアファメーションと実践の重要性新しい視点で行動することをサポートするために、日々のアファメーションは欠かせません。これは単なる自己暗示ではなく、ポジティブな思考と行動を強化し、長期的な変化を促すための重要なステップです。新たなビリーフをインストールした時のワクワクした気持ちを持続させるためには、毎日のアファメーションや実践が鍵となります。新たな視点での行動は、日々の積み重ねによってより強力なものとなり、最終的には自己成長や成功につながるでしょう。あわせて読みたいビリーフを変えて行動を改善する!簡単なステップセッション後のRさんの変化Rさんはセッションを終えて、「自分には芯がない」というビリーフに感謝の気持ちを持つことができました。彼女はそれを手放し、新しいビリーフをインストールしたことで、他人との関係にも自信を持つようになりました。コア・ビリーフを見つけるのが怖かったけど、最終的にはコア・ビリーフに感謝もできた。そして、何より新しいコア・ビリーフをインストールすると、とてもワクワクした気持ちになれました。このプロセスは、私たちが自分自身と向き合い、自己理解を深めることで、他人を理解する力をも得られるということを示しています。もしあなたが「他人を理解できない」と感じているなら、まずは自分の内面に目を向けることが大切です。そして、コーチングやセラピーを通じて、内面のビリーフを見つけ、それを手放し、新しい自分を構築していくことができるのです。※クライアントさんには、事前にセッション内容をブログに掲載することの許可をいただいていますオススメ関連記事自分軸を持つ方法|価値観の見つけ方ワークで恋愛・仕事を充実させる成功者の特徴の本質|目的・目標・手段を明確にするモデリング理論