「引き寄せ」「波動」「宇宙の流れ」──スピリチュアルな世界にのめり込んでいたAさんは、かつてこうした言葉に大きな希望を感じていたそうです。ノートに願いを書き、波動を整えるルーティンを続け、いくつものセミナーやヒーリングに時間とお金をかけてきた彼女。でも、どれだけ頑張っても、現実はなかなか変わらず、気づけば「うまくいかないのは、自分の波動が低いから」と、自分を責めるようになっていました。そんな彼女がスピリチュアルから少しずつ距離を置き、コーチングを通じて"本当の願い"に気づいたことで、現実が静かに動き始めたんです。この記事では、Aさんの実体験をもとに、スピリチュアルにのめり込むまでの背景や、依存している時の思考パターン、そこから抜け出し、自分の人生を取り戻すまでのプロセスなどをお伝えします。スピリチュアルにハマったきっかけ|私が依存するまでの経緯Aさん(女性・会社員)がスピリチュアルに惹かれはじめたのは、30代になってすぐの頃。仕事もそれなり、周囲の人間関係もそれなり。だけど、どこか心が満たされず、「このままでいいのかな」という漠然とした不安を抱えていたそうです。毎日、表面上はちゃんと過ごしてたんです。でも、本音を言えば、人生に"熱量"がなかったというか…。「私、このままで終わっちゃうの?」って、どこかで焦ってたんですよね。そんなときに出会ったのが、「引き寄せ」や「波動」など、スピリチュアルな考え方でした。SNSやYouTubeには「思考が現実をつくる」「波動が上がれば人生が変わる」といった言葉が溢れていて、「自分も変われるかもしれない」と感じた彼女は、そこからスピリチュアルの世界にどんどん惹き込まれていきます。最初は軽い気持ちで受けた占いやリーディング。「あなたには特別な力がある」「今は転機です」と言われるたびに、モヤモヤしていた現実が"意味あるもの"に変わった気がして、少しだけ救われた気がしたそうです。最初のうちは、本当に心が軽くなったんです。「そうか、私は間違ってなかったんだ」って。でも…それが"答え"だったことは一度もなかったんですよね。いつの間にか、また次のセミナーや占い、エネルギーワークを探している自分がいる。気づけば「これが意味あるのかどうか」よりも、「次こそ当たるかも」「今度こそ人生が動くかも」という期待に支配されていた。今振り返ると、あの頃の私は"スピリチュアルにすがっていただけ"だったと思います。何かを「信じる」ことと、「依存する」ことの違いが、当時はわかっていなかった。こういった生活を、彼女は3年ほど続けていたそうです。一時的な癒しや高揚感はあっても、その後にやってくるのはいつも同じ不安。結局はそれが繰り返されるだけで、現実も、内面も、根本的には何も変わりませんでした。満たされたかったけど、満たされなかった。スピリチュアルって、意味ないのかな……って、だんだん思うようになっていきました。それでも、やめるという発想には至らず、「まだ本当の答えには辿り着けていないだけ」と信じて、さらに学びやワークにのめり込んでいきました。あわせて読みたいもう占いで悪い結果に振り回されない!元占い師がおすすめするコーチングスピリチュアル依存で自分を見失っていた頃のことAさんがスピリチュアルにのめり込んでいた頃、彼女の毎日は"自分を整えること"でいっぱいでした。朝は目覚めたら、まず感謝の言葉を唱える。「今日も生かされていることに感謝」「すべてはうまくいっている」──そう自分に言い聞かせることで、不安を打ち消そうとしていたといいます。そして、ノートに書いた「願望リスト」を見つめ、"波動を上げる"ルーティン。夜は、瞑想やヒーリング動画で1日を締めくくる、という日々。とにかく、いい気分でいなきゃ、って思ってました。ネガティブな感情は、周波数が下がるからダメだって。悲しくなっても、怒りが湧いても、とにかく打ち消そうとしてました。スピリチュアルなセミナーやオンラインサロン、ワークショップにも月に何度も参加していたそうです。中には何万円もする講座もあり、費用も時間もどんどんかさんでいきました。自己投資だと思ってました。「ここなら、何かが変わるかもしれない」って、毎回すがるような気持ちだったんです。でも、現実は何も変わりませんでした。仕事や人間関係の悩みは相変わらず。「波動が上がればうまくいく」と言い聞かせても、本当はどこかで"何かが違う"と感じはじめていたといいます。「こんなに頑張ってるのに、なんで変わらないんだろう?」「私の波動がまだ足りないのかな…」って、どんどん自分を責めるようになってました。それでもやめられなかった。なぜなら、それをやめてしまったら、本当に"何も残らない気がして怖かった"から。あの頃の私は、もはや「スピリチュアルをやめる」という選択肢があるなんて思っていなかったんです。だって、やめたら全部"意味がなかった"ってことになっちゃう気がして…それが一番怖かったんですよね。そう語ってくれた彼女の表情には、当時の苦しさと、そこから抜け出せた今の安堵が、静かに滲んでいました。あわせて読みたい変わりたいけど変われない人へ|努力をやめれば報われる理由と方法私がスピリチュアルをやめた理由|多くの人に共通する5つの背景それまでたくさんの時間とお金をかけてきたからこそ、「やめる」って思ったら、今までの全部が意味なかったような気がして…。それがすごく怖かったです。でも、Aさんが一歩を踏み出せたのには、明確な理由がありました。ここでは、Aさん自身が語ってくれた「スピリチュアルをやめた理由」を中心に、同じような背景で悩む人によく見られるケースも合わせてご紹介します。スピリチュアル依存をやめた人に共通する5つの背景1.経済的な負担が大きくなっていたAさんは、自己成長のためにさまざまなセミナーや講座に参加していました。最初は「自分への投資」だと思っていたけれど、次第に月々の生活費を圧迫するように。カードの明細を見るたびに、「これって本当に必要だったの?」って不安になって。現実的に考えて、もう限界だなって思いました。こうした「自己投資」が苦しさに変わる感覚は、スピリチュアルにのめり込んだ方が感じやすい共通点でもあります。2.思考が偏って、自分を責めるようになっていたAさんは、スピリチュアルな教えに真面目に取り組むほどに、「うまくいかないのは、自分の波動が低いから」「ネガティブだから現実が悪くなる」と、少しずつ思考が極端になっていったそうです。気づいたら、何があっても"私のせい"になっていて、現実に対して冷静な判断ができなくなってたんですよね。こうしたスピリチュアル的な自己責任論に苦しむ方は実際とても多く、真面目で頑張り屋さんほど、強く影響を受けやすい傾向があります。3.人間関係にも影響が出はじめたAさんは、親しい人との会話でも無意識にスピリチュアルな言葉を使うようになっていました。悩んでる友達に「それは魂の成長のためだよ」って言ってしまったことがあって…。でもその人は、ただ話を聞いてほしかっただけだったんですよね。気づけば、誰かの気持ちに寄り添うつもりが、独善的なスピリチュアルの押しつけになっていた。そして、それが相手との距離を生む結果になっていたことに、後から気づいたといいます。4.引き寄せの落とし穴にハマっていたスピリチュアルを真剣に学ぶほどに、「すべては自分が引き寄せている」と考えるようになっていったAさん。でも、その考え方は、少しずつ彼女の心を追い詰めていきました。苦しいのも辛いのも、結局は「すべては自分が引き寄せている」って。本来は、もっと心が軽くなるはずの考え方だったのに、気づけばプレッシャーになっていて……。なんでこんなに苦しいんだろうって思いました。本来、安心や癒しを与えてくれるはずだったスピリチュアルな教えが、いつの間にか「自分を責めるための理屈」にすり替わってしまっていたんです。5.現実と向き合えなくなっていたことに気づいたAさんはこうも語ってくれました。私はずっと、「波動を整えよう」とか「宇宙に任せよう」って意識してきたけど、今思えば、ただ"現実から逃げてただけ"だったと思います。問題に向き合うのが怖かったんですよね。実際、スピリチュアルが「現実からの逃避先」になっている人は珍しくありません。一見ポジティブな表現の裏で、問題から目をそらす構造が起きていることもあります。スピリチュアルに頼るのをやめられたきっかけ|コーチングとの出会いAさんがスピリチュアルから少しずつ距離を置こうと思えたのは、ある"現実的な違和感"がきっかけだったそうです。ある日、たまたま目に入ったのは、昔の友人のSNS投稿でした。その友人とは、しばらく疎遠になっていて、最後に会ったのはもう何年も前。それまでAさんは、スピリチュアル系のインフルエンサーや、ネットで見つけた"すごそうな人たち"の言葉ばかりを追いかけていました。でも、それらはどれも実際に会ったこともない、"遠い世界の誰か"の発信。そんな中で、ふと目に留まったのが、かつてよく一緒に遊んだこともある、生活感までなんとなく知っている"リアルな友人"のSNS投稿。ずっと会ってはいなかったけれど、「あの子がここまで変わってるなんて…」というリアルな衝撃があったといいます。転職して、収入も上がって、マンションまで買って…。昔は私と似たようなステージにいたのに、すごくしっかり自分の人生を歩いているように見えたんです。「この3年の間に、彼女に何があったのだろう?」そう思いながらAさんは、久しぶりにその友人の過去の投稿を遡ってみたそうです。そして、ある言葉が目に留まります。【──コーチング】それまで、Aさんは「コーチング」という言葉すら知らなかったと言います。スピリチュアルな世界ではよく耳にする「ヒーリング」や「リーディング」とは違って、なんだか堅そうで、Aさんにとっては苦手な"現実的な響き"があったそうです。でも、なぜかその時、「試してみようかな」って思ったんです。スピリチュアルと距離を置こうと考えたばかりで、何も信じられない時期だったけど、あの友人の変化を見てたら、「もしかして、今度こそ私も変われるかも」って思えたんですよね。そこからAさんは、自分でいくつかの体験セッションを申し込んでみたそうです。最初は「どうせ何も変わらないかもしれない」と半信半疑だったといいます。でも、「とりあえず話だけでも聞いてみよう」──そんな気持ちで、行動に踏み出しました。その中のひとつが、私との体験セッションだったようです。あわせて読みたいコーチングって意識高い人向け?|そんなあなたにこそ試してほしいNLP × コーチング「自信がほしかっただけだった」|セッションで気づいた本当の願い体験セッションに申し込んだとき、Aさんは半信半疑でした。正直、また同じことを言われるのかなって思ってました。ポジティブになればうまくいくとか、願えば叶うとか……それはもう、散々やってきたんですよね。最初の問いかけは、よくある引き寄せのワークと変わらないように思えたそうです。たしかに、私が体験セッションで行う基本的な質問は、そういったスピリチュアルワークととても似ているかもしれません。あわせて読みたいバシャールの教えとNLP × コーチングの共通点|現実を変える意識の仕組み「本当の願い」に気づくまでの問いかけの流れ体験セッションでは、最初にこんな質問をしました。「Aさんが、"欲しいもの"って、何ですか?」パートナーがほしいです。ちゃんと向き合ってくれて、あたたかい関係が築ける人。その願いを、しっかりイメージ化していきます。「その願いが叶ったとき、何が見えて、何が聞こえて、どんな気分ですか?」……テレビの音が流れてる明るい部屋で、一緒にご飯を食べながら、話してる。「これが日常なんだ」ってホッとしてると思います。ここまでは、Aさん自身も「よくある引き寄せと似てるな」と感じていたそうです。でも、次からの問いが、彼女の思考の深いところに入りはじめました。「それが叶うことで、Aさんは何を得られますか?」……孤独じゃないって思えること。誰かとつながってる安心感です。「その安心感が手に入ることで、さらに何が得られそうですか?」心が安定する。焦らなくていいって思えるかも。「それによって、さらにどんなものが得られますか?」うーん……自分のことを責めなくなる気がします。"私ってダメだな"って、思わなくなるかもしれない。「それによって、さらに何が得られますか?」……なんだろう、もう"今の自分で大丈夫"って思えてる。あ、そうか。……私、自分に自信がほしかったんだ。彼女は自分で驚いたように、ぽつりとそう言いました。私に足りなかったのは、「自信」だったその言葉には、これまでずっと抱えていた違和感や苦しさが、一本の線でつながったような深い気づきが込められていました。ずっと「愛されたい」とか「孤独が嫌だ」って思ってたけど、それって、ただ"自分に自信がなかった"だけだったんですね。パートナーがほしいっていうのも、"誰かに愛されることで自信を得たい"っていう、手段だったのかもしれないです。この気づきは、Aさんにとって初めて「自分が本当に求めていたもの」が見えた瞬間でした。それまで願っていたものが、実は"目的"ではなく、"手段"だったのだと理解できたんです。今までどれだけ願っても叶わなかったのは、それが"本当の願い"じゃなかったからなんだ──そう思ったら、スピリチュアル的に見ても、腑に落ちた気がしました。彼女の表情には、ようやく本当の自分と出会えたような、静かな納得感がにじんでいました。スピリチュアルをやめたことで得られたものコーチングを通じて大きな気づきを得たことで、Aさんは少しずつ、スピリチュアルへの依存を手放していきました。たとえば、不安なときに、誰かの言葉を検索するよりも、自分の気持ちをノートに書くようになった他人に"正解"を求めるのではなく、自分に問いかける時間が増えた「なんとかなるかも」と思える日が、ほんの少しずつ増えていった前は、「うまくいかない=波動が低い」って、すぐに決めつけてました。でも今は、「ちょっと疲れてるのかな?」とか、「タイミングが合ってないのかも」とか、「そもそも、今のやり方が合ってないのかもしれない」って、いろんな角度から考えられるようになったんです。そうやって自分を責めなくなっただけで、すごくラクになった気がします。引き寄せ、波動、宇宙、過去世──どれもAさんにとって、最初は「救い」でした。けれど、いつの間にか、それしか見えなくなってしまうほど、自分の視野を狭めていたことに気づいたといいます。でも、コーチングを通じて「自分に問いかける力」を得たことで、スピリチュアルの言葉にも適切な距離感や、上手な使い方を持てるようになっていったんです。引き寄せも波動も、今でも大切だなって思います。でも、今はそれを"絶対の真理"として信じているというより、"そう考えたほうがうまくいくこともある"っていう、思考法のひとつとして捉えています。そのほうが、むしろ気持ちはずっとラクで、ポジティブでいられるんです。スピリチュアルを否定するのではなく、盲信せず、必要な部分だけ"自分の意志で選んで使う"。そんなスタンスが持てるようになった今、Aさんの中には、以前よりもずっと、しなやかな安心感が育っていきました。そして、数回のセッションを経て、自分に自信が持てるようになってくると、現実も少しずつ動き始めました。理想のパートナーとも自然な形で出会い、今は穏やかであたたかな日々を過ごしています。あわせて読みたいトレーニング不要!他人軸な人生を変える自分軸の作り方スピリチュアルに疑問を感じたあなたへ|意味ないかも…と不安になった時のチェックリストここまで読んでくださった方の中には、「私も同じかもしれない」と感じた方もいれば、「いや、私はスピリチュアルで変われた」と思う方もいるかもしれません。それでいいんです。この文章は、スピリチュアルを否定するために書いているわけではありません。そして、コーチングを“正解”として押しつけたいわけでもありません。大事なのは──「いま自分が信じているものが、本当に自分を前に進ませてくれているか?」という視点です。もし今、心のどこかで違和感やモヤモヤを感じているなら、一度こんなことを自分に問いかけてみてください。迷いが生まれたら確認したい2つのポイントスピリチュアルの教えを信じて、実際に現実が変わりましたか?具体的な行動や習慣、人間関係、働き方……何かが具体的に変化しましたか?一時的に癒されたとしても、同じ悩みや不安を繰り返していませんか?「今度こそ変われるかも」と、また次のメソッドや誰かの言葉を追いかけてはいませんか?スピリチュアルな考え方は、とても美しく、力になることもあります。でももし、それが「現実から目をそらす理由」になっているとしたら──ほんの少し立ち止まって、違う可能性を考えてみてもいいかもしれません。たとえば、Aさんのように、自分に問いかけてみる時間を持つこと。誰かに正解を求めるのではなく、「自分の中にヒントがあるとしたら?」と視点を変えてみること。どんな方法が合うかは、人によって違います。でも、他の可能性を"試してみる"ことだけは、誰にでもできることです。まとめスピリチュアルを通じて救われた感覚があったからこそ、やめるという選択肢は、簡単には持てないものかもしれません。でも、もしあなたが今、「何かが違う」と感じているなら、それは"外の正解"ではなく"自分自身の声"に耳を傾けるタイミングなのかもしれません。今回ご紹介したAさんのケースのように、「自分の中にある本当の願い」に気づくことで、現実は少しずつ、静かに動き始めます。スピリチュアルを信じることと、依存することは違う「うまくいかない=自分の波動のせい」と妄信するのは危険本当の願いは、叶えたい現実の"さらに奥"にある外に答えを探すより、自分に問いかける力を持つことが大切オススメ関連記事目標達成できない人へ|「目的→目標→手段」この順番、意識できてる?後悔ばかりの人生をやり直したい人へ|たった1日で人生を変える方法