SNS上での炎上や過剰な正義感は、私たちのメンタルヘルスに悪影響を与えることがあります。先日は松本人志さん、ここ数日は「セクシー田中さん」の作者の芦原妃名子さん。トレンドを覗けば、たくさんの人がそれぞれの想いをツイートしています。もちろん、その方達のファンだったり、関係者だったり、身近な人達にとっては、自分の人生に大きな影響を及ぼすものだから、何か発信したくなるのは当然のことだと思います。ただ、多くの人は今後の人生に全くといっていいほど影響が及ばない人達でしょう。僕もそのひとりです。自分にとってどうでもいいニュースをタップし、どうでもいい情報をインプットし、それに対して共感や反発など何らかの感情の反応が起こる。自分の人生には関わりないことでも、自分の心身の健康には大きく影響してくるものです。正義の制裁はとっても気持ちいいSNSやインターネット上で特に目立つのは、悪人を探して避難する動き。顏も名前もわからない匿名の声でも、大勢に集中攻撃を受ければそのダメージは大きい。自分や自分の身近な人が直接不利益を受けたわけでもないし、当事者と関係があるわけでもないのに、「許せない」『間違ってる』と強い怒りや憎しみの感情が湧いて、あまり知りもしない相手に攻撃的な言葉を浴びせてしまう。これは、人の脳は裏切り者や社会のルールから外れた人といった、わかりやすい攻撃対象を見つけて罰することに快感を覚えるようにできているかららしいです。こういった正義の制裁は、その人の脳に快楽物質ドーパミンが放出される。本人はただ怒っている意識かもしれないけれど、実は興奮してめちゃくちゃ気持ちいい状態なんですよね。ドーパミンは達成感、快感、喜びなどをもたらしてくれるから、それを得るために目標を達成しようと頑張るための力になってくれます。でも、目標を達成した後に何もやる気が起きなくなることがあるように、感情が幸せに振りきった分だけ今度は不幸に振り切るようにできています。まるで、振り子やシーソーのように。目標のような簡単に手に入らないものであれば、さして問題になることはないけれど、ドラッグやギャンブルなど手軽にドーパミンを得ることを覚えると、中毒になってしまう。ツイッター上で行われる正義の制裁も、スマホひとつで手軽にドーパミンを得られるものだから、一度ハマってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまう。脳科学者の中野信子さんは、これを「正義中毒」と名づけました。とても、的を射ている表現だと思います。あわせて読みたい幸せが実は不幸を招く?脳科学的に見る不幸の原因メタ認知が自分を正気に戻してくれる自分が正義中毒の状態にハマっているということを、自分自身で把握することはとてもむずかしい。ドーパミンがドバドバ出て、興奮状態ではどんどん視野がせまくなって周りが見えなくなるからです。メタ認知とは、自分を客観的に認知すること。NLPでは第3ポジションと呼んだりします。自分の身体から幽体離脱するような感じで抜け出して、第三者の視点から自分を見つめる。「この人は、なぜ許せないと思っているんだろう?」「正義の制裁をすることによって、この人にはどんな得があるのだろう?」と、自分をしっかりメタ認知できると、自分が周りからどんなふうに見えているかも理解できます。正義の制裁仲間の輪の中にだけいると、自分たちのやっていることが正しいと思い込んでしまうが、日本は広いし世界はもっと広い。本当は、ただ「幸せになりたい」「今の自分の生活に不満がある」だけだったりします。あわせて読みたい常に冷静でいる方法|メタ思考を鍛えるトレーニングで判断力を高める世の中とうまく付き合っていく職場での人間関係、恋愛、夫婦関係、親子関係などのトラブルなど、これまでたくさんの相談を受けてきているが、その多くはメタ認知で解決します。誰だって、視野が狭くなることはあるものです。自分だってストレスが溜まっていたり、ネガティブな状態にある時は、そうなりかねません。そして、誰だって自分の理想通りの世界で、自分の理想通りに相手が反応してくれて、自分の理想通りに人生が進んでくれることを望むもの。それを叶えたいなら、自分も自分の世界の住人であることを認め、客観的に自分を見つめられることが大切です。そうやって、「みんなの価値観と上手に付き合っていくことができるか?」を学ぶのです。そうすれば、自分に直接の利益不利益をもたらす世界とは関わらなくすればいいだけだし、自分の人生に直接影響を与える小さな世界であれば、理想の世界を作ることも可能です。オススメ関連記事承認欲求をなくす方法|SNSや恋愛依存から脱却し自分を満たすには?なぜ顔加工をやりすぎてしまうのか?|別人化する心理とその対処法