「今の自分が嫌い』」そんなふうに感じてしまうこと、ありますよね。その理由、実は過去への執着が大きな原因かもしれません。過去の自分は輝いていた、できていたことがあった、それに比べて今の自分はどうしても劣っているように感じてしまう。それが今の自分を嫌いにさせている原因なんです。過去と今を比べている限り、今の自分を受け入れることはできません。でも、その執着を手放すことで、今の自分をもっと好きになれるんです。この記事では、過去への執着を手放し、今の自分を受け入れ、変えるための方法をお伝えします。「今の自分が嫌い」な理由は、過去への執着「こんな自分、好きになれない」「今の自分を変えたい。」そんなふうに感じてしまうこと、ありませんか?私たちは日々、自分に対してたくさんの評価やジャッジをしています。そしてその中でも、「今の自分が嫌い」と感じるとき――その気持ちの奥には、過去への執着がひっそりと潜んでいることがあります。たとえば、「あの頃の自分はもっと自由だった」「昔はもっと明るくて社交的だったのに」「前は人に頼られたり、頼もしいって言われてたのに」過去の自分のほうが"よかった"と思ってしまうと、今の自分は"劣っている""何かが足りない"と感じてしまうんですよね。そして、それが続くと、「今の自分はだめだ」「こんな自分じゃ誰にも認められない」…そんなふうに、どんどん自己否定が強くなっていきます。でも、それって本当に「今の自分」だけの問題なんでしょうか?もしかしたら、「過去と比べる癖」が、今を苦しくしているだけなのかもしれません。もちろん、過去の思い出が悪いわけではありません。楽しかったこと、大切だったことを思い出すのは、自然なことです。でも、それが"今"を否定するための材料になってしまうなら、私たちは自分自身を苦しめてしまっているのかもしれません。クライアントNさん|実年齢と精神年齢のギャップに悩んでいた日々「自分って、実年齢よりも幼い気がするんです」そんなふうに話してくださったのは、クライアントのNさん(50代・女性)です。Nさんの中には、「今の自分がなんだかしっくりこない」という感覚がありました。それは、2つの悩みとして表れていたんです。年齢と趣味のギャップに悩んでいたNさんひとつは、「好きなものが若い人向けばかり」ということ。音楽や趣味、ファッションなど、自分が惹かれるものは10代や20代にも人気のあるものが多く、ライブなどに行っても「この年齢で楽しんでいて大丈夫かな…」と不安になってしまうことがよくあるそうです。誰にも迷惑をかけていないはずなのに、「若い人から変に思われているんじゃないか」と感じてしまう――そんな思いが、Nさんを苦しめていました。自分を「幼い」と感じていた理由もうひとつは、「常識的な行動ができない自分」に対する違和感。たとえば、ある日お寺に護摩焚きに行った際に、「本当は手土産を持っていくべきだった」と後から気づき、強く反省したことがあったそうです。その出来事をきっかけに、「私は気遣いができない人間なんじゃないか」「大人として何かが欠けているのかも…」と、自分を責めるようになったと話してくれました。Nさんのこうした悩みの原因は、過去への執着だったんです。「昔の自分はもっとちゃんとしていた」「あの頃の自分に戻りたい」そんな想いが、知らず知らずのうちに「今の自分」を否定し、苦しめていた。そして、そのことに本人も最初は気づいていませんでした。もしかすると、あなたが感じている「今の自分が嫌い」「変わりたい」という気持ちも、同じように過去の自分とのギャップから来ているのかもしれません。では、なぜ私たちは、そんなふうに過去にしがみついてしまうのでしょうか?過去への執着がもたらす影響|今の自分を受け入れられない理由「どうして、こんなに今の自分が好きになれないんだろう」そんなふうに思ってしまうとき、つい"今の自分のここが悪いからだ"と原因を探しがちですよね。でも実は、そう感じる気持ちの裏には――「過去の自分」との比較や、過去への執着が隠れていることがあります。「なぜ、今の自分が嫌いになってしまうのか」「どうして、過去に執着してしまうのか」その心の仕組みを、少しずつ紐解いていきたいと思います。過去に執着する人の特徴過去に執着してしまう人には、いくつか共通する傾向があります。たとえば…「今の自分に納得がいかない」「前の方がよかった」と感じる場面がよくある過去の栄光や成功体験が忘れられない昔の失敗や後悔を何度も思い出してしまう周囲と比べて「自分は落ちてしまった」と感じるSNSで同年代の"キラキラした過去投稿"を見て落ち込むそしてもうひとつの特徴は、「今」や「未来」に意識を向けることが苦手になっていること。過去の思い出や後悔ばかりに心を奪われていると、今の自分の感情や、これからの可能性に気づく余白がどんどん減ってしまうんです。「自分だけが止まっている気がする」そんな感覚に襲われることも、過去への執着のサインかもしれません。過去に執着する心理の正体では、どうしてそんなにも過去にしがみついてしまうのでしょうか?その背景には、いくつかの心理的な要因があります。1.「変化」が怖い人は、本能的に変化を避けたがる生き物です。だから、たとえ現状が苦しくても、慣れ親しんだ"過去の自分"のほうが安心できる。変化を受け入れるには、エネルギーと勇気が必要なんです。2.「理想の自分」が過去にいるかつて輝いていた自分、満たされていた自分。そのイメージが強ければ強いほど、「今の自分」は色あせて見えてしまいます。理想像が未来ではなく、"過去にいる"状態になってしまっているんですね。3.自己肯定感が下がっている過去の自分と今の自分を比べて「今はだめ」と思っていると、自然と自己肯定感は下がっていきます。するとますます、「でも、昔はできてた」「前はよかった」…と過去にしがみつくようになってしまいます。あわせて読みたい自分を好きになれない人必見!心理学が教える自分を好きになる方法"楽しかったあの頃"が手放せない心理過去に執着してしまう原因は、つらい経験だけではありません。むしろ多くの場合、心を強く引き寄せるのは「楽しかった記憶」です。学生時代や20代の自由な日々誰かと過ごしたかけがえのない時間頑張っていた仕事や、認められていた過去の自分ふと思い出して、「あの頃はよかったな…」と感じること、誰にでもありますよね。過去は"安心できる場所"として記憶されやすい人の記憶は、ときにとても都合よくできています。つらかったことや大変だったことよりも、楽しかった瞬間や、輝いていた自分のほうを強く記憶していることって、ありませんか?「よかった頃の自分」「できていた自分」――そうした過去は、"安心できる場所"として心に残りやすいんです。今が不安だったり、うまくいっていないときほど、私たちは過去にすがりたくなる。過去はもう変わらない。だからこそ、そこに逃げ場や正解を求めてしまうんです。それが、知らず知らずのうちに心の中で「執着」として育っていきます。幸せな記憶が"今"を苦しめることもある本来、楽しかった過去は宝物のようなもの。でも、その記憶が強すぎると、"今"がかすんでしまうことがあります。たとえば、若い頃の恋愛が忘れられない子どもが小さかった頃を思い出して、今が物足りなく感じる輝いていたあの時代と比べて、今の自分に価値が感じられないそんなふうに、過去の幸せが、今を否定する材料になってしまうこともあるんです。でも、それは本当に「今が価値のない時間」なのでしょうか?違いますよね。ただ、「あの頃の自分を基準にしている」だけなんです。楽しかった記憶があるのは、素敵なこと。けれど、それが“今の自分を否定するもの”になってしまうとしたら――少しずつ手放していく必要があるのかもしれません。過去に執着しない方法|今の自分を変えたいなら、まず受け入れることから過去への執着を手放し、今の自分を受け入れていく――そのためには、「いきなり前向きになる!」ではなく、段階的な心の整え方が必要です。ここでは、今のあなたの心にそっと寄り添うための4つのステップをご紹介します。1.自分が「本当は何を大切にしたいか」に気づく今の自分が嫌だと感じるとき、多くの場合、「こうあるべき」「周りはこうしてる」といった他人の基準で自分を判断してしまっています。でも本当は、あなたの中にはちゃんと自分の“好き”や“心地よさ”があるはず。まずはそこに、そっと目を向けてみましょう。実践例「今ハマっていること」「わくわくすること」を書き出してみる「それって変かな?」と思ったら、「私はどう感じてる?」と問い返してみる「年齢」や「常識」は一旦横に置いて、"自分の好き"に素直になるNさんのケースNさんは、若者向けの音楽やライブが大好きでした。でも年齢を理由に、「これってちょっと恥ずかしいのかも…」と感じていたそうです。そんな中、セッションで深掘りしていくと、こんな言葉が出てきました。「好きなものを、好きでいたいだけなんです」年齢や世間の目ではなく、自分の本音に気づいた瞬間でした。あわせて読みたい自分軸を持つ方法|価値観の見つけ方ワークで恋愛・仕事を充実させる2.他人の声から自分を守る工夫をしてみる私たちは、思っている以上に"他人の評価"を気にする環境の中で生きているものです。SNS、ネットのコメント、家族のひとこと…。自分を否定するような言葉が無意識に心に入り込んできて、「今の自分ってだめなのかも」と思ってしまうこともあります。そんなときは、意識して心を守るための環境づくりをしてみてください。実践例SNSやコメントを"見ない時間"をつくる「この情報、今の私に必要?」と問いかける信頼できる人との時間を増やす/一人の時間を安心できるものに整えるNさんのケースNさんは、ライブに行くときも「若い人からどう思われてるか」が気になってしまっていたそうです。でもよく聞くと、その原因はネットのコメントや周囲の反応を自分から拾っていたことにありました。そこで、こんな対策を取ることにしました。ネットでファンのコメントを見ないライブには気の合う友人と一緒に行く周囲よりも"アーティストに集中する"意識を持つこのように、ちょっとした工夫で、自分の世界を守ることができるんです。3.過去と比べず、「今できていること」に目を向ける「前はもっとできていたのに」「昔はちゃんとやれていたのに」そう感じることはあるかもしれません。でも、その比較が「今の自分を否定する材料」になっているなら、それは少し危険信号。"今の自分"ができていること、頑張っていることにも、ちゃんと目を向けてあげましょう。実践例1日の終わりに「今日できたこと」「頑張ったこと」を3つメモする昔と同じ方法にこだわらず、「今の状況に合ったやり方」を探してみる自分に対して「それでも、ちゃんとやってるよ」と声をかけてみるNさんのケースNさんは、「最近は気遣いができない」と悩んでいました。たとえば、お寺に行ったときに、手土産を持っていかなかったことを強く反省したそうです。でもよく話を聞いてみると、それは初めての体験だったからこその"学び"であって、2回目以降はちゃんとできていたことばかりだったんです。にもかかわらず、「昔のようにはできない」と、"過去の成功体験"だけを理想にしてしまっていたんですね。あわせて読みたいもう占いで悪い結果に振り回されない!元占い師がおすすめするコーチング4.「変わろう」ではなく「育てていこう」と思ってみる「変わりたい」と思うとき、つい「今の自分を否定してでも変えなきゃ」と思ってしまいがちです。でもそれでは、かえって苦しくなってしまいます。大切なのは、今の自分を土台にしながら、少しずつ"育てていく"感覚。変わるのではなく、育っていく――そのほうがずっと、自然で優しい変化をつくれます。実践例「昨日より1%進めたらOK」と思ってみる変化を"結果"ではなく"過程"として見守る(例:今日はやってみただけでもOK)自分の変化の記録を残しておく(メモ、音声、写真…なんでもOK)どのステップも、特別なスキルはいりません。「こうじゃなくてもいいのかも」と気づいたり、「ちょっとやってみようかな」と思えるだけで、心はすこしずつ変わっていきます。セッション後のNさんの変化|「過去の自分」から「未来の自分」へ実際に、Nさんもセッションを経てこんな言葉を残してくださいました。 過去に執着しすぎて、本当の意味で未来が見えていませんでした。だけど、気づきによって、今は未来に向かうタイムラインが輝いて見えます。そして、未来の自分にはたくさんの可能性があるんだと気づきました。気づきというのは一瞬のものかもしれません。でもその一瞬が、これからの人生の軸を変えていくほどの力を持つこともあるんです。Nさんにとっての今回の気づきは、まさに「未来を見つめる」始まりとなりました。※クライアントさんには、事前にセッション内容をブログに掲載することの許可をいただいていますまとめ「今の自分が嫌い」という感情の根底には、過去への執着があるかもしれません。過去の自分と今の自分を比べてしまうことが、自己否定を生み出し、今を苦しめる原因となるんです。過去の思い出は大切にしつつも、それにしがみつかないようにすることが、心の安定を取り戻す鍵となります。過去の自分を基準にすることが、今の自分を否定する原因になりやすい自分の変化を受け入れ、過去と比べることなく「今できていること」に目を向ける他人の評価を気にせず、自分の本当の気持ちや価値観に従うことが重要自分を変えようとするのではなく、今の自分を育てていくという考え方が、自然で優しい変化を促進するオススメ関連記事自信が持てない…そんなUさんが変われた方法「DSR」とは?ネガティブ思考を変えたい!サブモダリティで感情コントロールする方法