「承認欲求をなくしたい」「SNSに頼らず自己肯定感を高めたい」と感じることはありませんか?現代社会では、SNSやインスタでの「いいね!」や、恋愛での「愛されたい」「可愛いと言われたい」という欲求が高まり、強すぎる承認欲求がSNS依存や自己顕示欲といった問題を引き起こすこともあります。こうした承認欲求を満たすために無意識に行ってしまう行動の裏には、精神的な満足を得るための「二次利得」が関係している可能性があります。この記事では、承認欲求が強い人が陥りがちな行動や、その心理的な背景に注目し、承認欲求を健全に満たす方法について考察します。承認欲求が強い人の特徴と原因承認欲求が強い人は、さまざまな行動で他者からの評価を求める傾向があります。恋愛や自己表現の場で目立つことが多く、以下のような特徴が見られます。恋愛での承認欲求恋愛において、承認欲求が強い人は相手からの愛情や特別扱いを強く求めます。恋愛が始まると、男性から「もっと愛されたい」、女性から「モテたい」という気持ちが高まり、過度に相手の関心を引こうとする傾向があります。「可愛い」と言われたい気持ち自分の外見を褒めてもらいたい、特に「可愛い」と言われることに価値を見出すのも、承認欲求の強い人の特徴です。こうした言葉を求めて頻繁に写真を投稿したり、見た目にこだわることで、自己肯定感を高めようとします。自己顕示欲との関連承認欲求が強い人は自己顕示欲が高いことが多く、「他人に注目されたい」という気持ちが強いのが特徴です。SNSでは自分の意見やライフスタイルを積極的に発信し、他者からの「いいね!」やコメントを得ることで満足感を感じます。インスタやSNSでの自己表現インスタグラムやTwitterなどのSNSは、承認欲求を満たす手段として頻繁に利用されます。自分の日常や趣味、感情をシェアし、他者からの反応を得ることが自己肯定感につながるため、SNS依存に陥りやすい傾向もあります。こうした特徴は、表面的には自己肯定感を高めるように見えますが、実は無意識のうちに「他者からの評価」に依存しているため、満たされないと不安感やストレスを感じやすくなります。これらの行動が無意識に繰り返される背景には、承認欲求を満たすための「二次利得」が関係している可能性があります。二次利得とは?承認欲求を捨てることができない人の心理二次利得とは、本人が意識している「やめたい」「改善したい」という思いとは裏腹に、無意識レベルでは利得として症状を維持しようとする状態を指します。たとえば、承認欲求でいえば次のような例が挙げられます。「○○を治したい」(意識)<「治さない方が周囲から注目され、承認欲求が満たされる」(無意識)「○○をやめたい」(意識)<「続けることでSNSで注目され、他者承認を得られる」(無意識)人間の意識は全体の5%であり、残りの95%が無意識だとされています。無意識の中にある「承認欲求を満たしたい」という力が強い場合、本人の意識が求める改善を妨げることが多いのです。もともと二次利得の概念は、疾病利得として精神医学やカウンセリングの領域で重視されてきました。疾病利得病いであることから得られる利益。フロイトによれば、心的な苦痛を回避するために内的葛藤を抑圧し、その結果神経症のような症状へ逃避する第一次疾病利得(primary gain)と、疾病であることで周囲の者や社会から同情・慰め・補償などを得る第二次疾病利得(secondary gain)とに分けられる。精神療法では、これら疾病利得に由来する抵抗を解決し、患者の自我がふたたび現実に立ち戻れるようにすることが治療目標とされる。wikipediaー精神分析学しかし現在では、SNSや職場での行動にも大きく影響を及ぼしています。ですから、精神疾患以外の日常における様々な分野においても、この考え方が重要視されてきています。あわせて読みたい潜在意識とは?その仕組みと意識との関係を解明一次利得とは?心のストレスが身体に現れるメカニズム二次利得を理解するには、まず「一次利得」を知ることが重要です。一見、身体的な症状に見えるものが、実は心理的ストレスを逃れるために無意識に起こる現象を指します。一次利得は、心の痛みや葛藤を緩和するために、身体に症状を転換させることで利得を得ているのです。たとえば、次のような状況が一次利得の例です。学校に行きたくない → お腹が痛くなる(一次利得)会社に行きたくない → うつ状態になる(一次利得)親の介護をしたくない → 腰痛が現れる(一次利得)これらの身体症状が表れることで、心の中で感じていた不安やストレスから一時的に解放されるのです。アドラー心理学では、この一次利得のような現象を「目的論」として説明します。アドラーは、人が症状を通じて「意識していない目的」を果たそうとする行動を指摘しています。あわせて読みたいアドラーの目的論とフロイトの違い|トラウマ克服とコーチングの関係二次利得とは?無意識に得られる「他者承認」二次利得とは、一次利得によって発生する身体症状を通じて、周囲からの同情やサポート、補償を得ることです。本来、本人が意図していなかった「副産物」として得られるものであり、これが承認欲求を満たす手段になることがあります。たとえば、以下のような例が挙げられます。学校に行きたくない → お腹が痛くなる(一次利得)→ お母さんが心配してくれる(二次利得)会社に行きたくない → うつ状態になる(一次利得)→ 傷病手当金が支給され、働かなくてもよくなる(二次利得)親の介護をしたくない → 腰痛になる(一次利得)→ 腰痛のおかげで介護を回避できる(二次利得)こうした状況が強く印象に残ると、無意識は同情や承認を得るために同様の行動を繰り返すことがあります。例えば、SNSに愚痴を投稿して他者からの反応を得ることで承認欲求が満たされる場合と同様、二次利得が日常行動にも影響を及ぼすことがあるのです。このように、二次利得が無意識に行動に作用することから、承認欲求や自己肯定感に関連する行動が日常の中で増えていく原因となります。承認欲求が強すぎると二次利得は気づくことができない二次利得の厄介な点は、本人が無意識のうちにそれを求めてしまい、自覚できないことです。たとえば「お腹が痛い」という症状は意識的に気づけますし、「お母さんが心配してくれた」という出来事も認識できます。しかし、無意識のレベルではこうしたパターンが形成され、次第に「お腹の痛みがなくなるよりも、お母さんに心配してもらうことが重要だ」という判断にすり替わることがあります。これは、SNSでの「いいね!」や他者からのコメントによって承認欲求が満たされると同じ構造です。本人はその行動が、意識的には「SNSに投稿すること」が目的だと思っていても、実は「他人の反応を得て承認欲求を満たす」ことが無意識の目的になっているのです。症状や行動に対する意識的な「改善したい」という思いと、無意識の「これを維持したい」という衝動がぶつかると、矛盾した行動が生まれ、承認欲求が強い人ほどこのワナに陥りがちです。あわせて読みたい変わりたいけど変われない人へ|努力をやめれば報われる理由と方法承認欲求が強い人の末路|二次利得との関係二次利得は、承認欲求を満たすために無意識の行動として現れることが多々あります。無意識が意識的な行動に影響を及ぼす例をいくつか挙げてみましょう。<例1:SNSでの愚痴と「いいね!」>一次利得嫌なことがあり、気持ちを楽にするためにSNSで愚痴を吐く二次利得(承認欲求の満足)みんなが「いいね!」をくれたことで、承認欲求が満たされる→ 無意識の認識意識では「愚痴を言いたくない」と感じているが、無意識では「もっと過激な内容にすれば、さらに多くの『いいね!』がもらえる」と判断している。<例2:リストカットと心配してくれる恋人>一次利得ストレスがたまったときに、リストカットをして心の痛みを和らげる二次利得(承認欲求の満足)恋人が心配してくれ、承認欲求が満たされる→ 無意識の変化「手首を切るのをやめたい」という意識があるが、無意識では「もっと自分を傷つければ、恋人がより優しくしてくれる」と考えている。<例3:クレームと店員の謝罪>一次利得購入した商品に不具合があり、店にクレームを言って交換してもらう二次利得(承認欲求の満足)店員が謝罪してくれることで承認欲求が満たされる→ 無意識の変化「クレームを言わずに済んだほうが楽だ」と思っているが、無意識では「もっとクレームを言えば、店員の謝罪が増える」と感じるようになる。このように、二次利得で得た「承認欲求の満足」が無意識に大きな価値を持ってしまうと、本人の本来の目的(一次利得)がすり替わり、承認欲求(=二次利得)を満たすことが優先されるようになってしまいます。あわせて読みたい正義中毒に注意!SNS炎上に巻き込まれないためのガイド承認欲求をなくす方法|健全な満たし方承認欲求は誰もが持つものであり、承認欲求が強い人もそのエネルギーをうまく活用すれば、仕事での成功や理想の相手との恋愛関係、自己成長へとつなげることができます。しかし、この欲求の満たし方を間違えると、自分や周囲に悪影響を与えることもあるのです。とくに、SNSが普及した現代ではSNS依存とも呼ばれる行動が、無意識に他者からの「いいね!」やコメントを求め、承認欲求を満たす手段として頻繁に利用されがちです。ネガティブな投稿が多く拡散され、注目を集めやすい状況もあって、愚痴や不満を投稿することで手軽に承認を得られるため、SNS上での承認欲求モンスター化が問題となっています。しかし、もしあなたが「承認欲求をなくしたい」と感じているなら、自分にとって健全な満たし方を探り、ポジティブな方法で自己肯定感を高めることが大切です。承認欲求を自分で満たせるようになれば、SNSに頼らずとも日常で心の充実感を得られるようになります。1.承認欲求を満たす代わりの方法を見つける承認欲求を苦しみの原因ではなく、前向きなモチベーションに変えていくためには、自分に適した方法を見つけることが大切です。まず、自分に問いかけるべき質問として次のようなものがあります。他人から認められるために、自分ができることは他に何があるだろうか?自分自身をもっと認めるために、何ができるだろうか?この問いを繰り返すことで、新しいアイデアや行動のヒントが見えてきます。たとえば、以下のような方法が承認欲求を健全に満たす手段となり得ます。自己成長:仕事で成功する、スキルを磨く、学び続ける健康管理:やせる、規則正しい生活を送る人間関係の充実:信頼できる友人を作る、恋人と良好な関係を築く自己満足とリフレッシュ:旅行、瞑想、趣味を楽しむこうした行動は、他者の評価に頼らず、自分自身を満たすための道筋となります。承認欲求を満たす新たな方法を見つけることで、内面的な充実感と自信が生まれ、他人の評価に左右されない自己肯定感が高まっていくのです。2.健全に承認欲求を満たす最善の方法を選択する承認欲求を健全に満たす方法を見つけたら、次はその中から自分にとって最も適した方法を選ぶことが重要です。選ぶ際には、次のような質問を自分に投げかけてみましょう。この中で、最もポジティブで、簡単で、続けられそうな方法はどれだろうか?この問いを通じて、どの方法が自分にとって最も心地よく、長続きしそうかを見極めます。そして、最も適した方法が見つかれば、それを新たな習慣として取り入れていきましょう。たとえば、「SNSで他者承認を求めるのではなく、自分の進捗を記録して自己成長を実感する」「健康的な生活習慣を身につけて自信を深める」など、承認欲求を満たしながらも自分自身にとってポジティブな行動に変えていくことができます。最終的には、承認欲求を内面から満たし、他人の評価に頼ることなく自己肯定感を高めることが目標です。まとめ承認欲求と二次利得は、無意識に私たちの行動を支配する力を持っています。承認欲求があること自体は決して悪いことではなく、うまく活用すれば自己成長や人間関係の向上に役立つものです。しかし、その満たし方が偏ってしまうと、自分自身や周囲に悪影響を及ぼし、無意識のうちに問題が増幅されることもあります。特に二次利得は、自覚できないために対処が難しい側面があります。承認欲求を満たす方法を意識的に見直し、ポジティブな方向に転換することで、健全な自己肯定感を育みながら前向きなエネルギーとして活用できます。二次利得が厄介なのは、自分自身で気づけてないから承認欲求があること自体は悪いことじゃない承認欲求の満たし方が様々な問題を引き起こす承認欲求を満たす方法を変えれば、ポジティブに活用できるオススメ関連記事うつ病、喘息…心と身体に現れるスピリチュアルな意味とは?なぜ不幸な人は不幸が続くのか?その最大の原因