イライラしてしまう瞬間は、日常生活のあらゆる場面に潜んでいます。仕事ができない人にイライラする、妻や旦那にイライラする、できない自分が嫌でイライラする、あるいは過ぎたことを思い出してイライラが止まらないことや、そのストレスで眠れないこともあるでしょう。実は、このイライラの感情には、あなたの価値観や「こうあるべき」という思いが大きく関わっています。この記事では、クライアントEさんのコーチングセッションを例に、イライラの根本原因を掘り下げ、イライラを沈めるために感情を抑える即効性のある対処方法を解説します。イライラが起こるメカニズム|その原因と解消へのヒントイライラする原因は一見すると個人の状況や性格に依存しているように見えます。しかし、多くの場合、その背景には共通のパターンがあります。<イライラする典型的なシチュエーション>職場で仕事ができない人にイライラする話が長い人にイライラする注意されるとイライラするできない自分にイライラする空腹になるとイライラする待ち合わせに遅れてくる彼氏にイライラするこれらはすべて、「自分の思い通りにいかない」という状況が引き金となっています。人は、自分の期待や希望通りに物事が進まないとき、強いストレスを感じます。この「思い通り」とは、私たち一人ひとりが持つ価値観や信念によって形成されています。例えば…お金をもらう以上は結果を出すべきだ話は簡潔に済ませるべきだ約束の時間は守るべきだなど、自分の持つ価値観が侵害されたとき、私たちはイライラを感じます。イライラの根本的な原因を探るためには、まず自分が何を大切にしているのかを理解することが重要です。多くの人は、自分が「何に対して思い通りにならないと感じているのか」を明確にできていません。しかし、自分の価値観を認識し、それがどうイライラに繋がっているのかを理解することで、その感情をコントロールするための第一歩を踏み出せます。【関連記事】自分軸を持つ方法|価値観の見つけ方ワークで恋愛・仕事を充実させるイライラした時の対処法①|原因となる価値観を見つけるイライラの感情は、自分が何を大切にしているかを教えてくれるサインです。その原因が自分の価値観にあると気づいたら、次にすべきはその価値観を明確にすることです。一般的に、イライラの原因を考えるとき、多くの人はそれを「怒り」「不安」「焦り」といったネガティブな感情として捉えがちです。しかし、コーチングのアプローチでは、このイライラを「自分の大切にしていることが明確になるチャンス」として捉えます。この意識を持って過ごすだけでも、感情のコントロールのトレーニングになります。1.イライラしてしまう状況を特定するイライラの原因となる価値観はひとつではありません。人はさまざまな状況でイライラを感じ、それぞれの場面に異なる価値観が隠れています。そこで、まずは自分がイライラを沈める必要がある具体的な場面を特定してみましょう。たとえば、次のような状況で心当たりはありませんか?職場仕事ができない人にイライラする、上司が曖昧な指示をする家庭妻にイライラする、旦那が家事を手伝わない恋愛彼女のことが好きなはずなのにイライラ、デートの予定が決まらずイライラ体調・習慣空腹でイライラ、ダイエットで全然痩せない自分にイライラ自分が、どんなときにイライラするのを抑えたいと思うかを考えてみてください。以下の質問を活用して、自分がイライラを感じる具体的な状況を特定しましょう。特に、どんな時にイライラするのだろう?特に、どんな場面でのイライラを無くしたいのだろう?「イライラする」という感情をひとまとめにしてしまうと、その原因がぼやけてしまいます。たとえば、「家族にイライラする」と一括りにするのではなく、具体的な場面や相手、状況ごとに掘り下げることで、根本原因をより明確にできます。次のステップでは、この特定した状況に基づき、イライラの原因となる価値観を掘り下げる方法を解説します。2.イライラの裏にある「大切な価値観」を見つけるイライラしてしまう理由は、実はあなたの大切な価値観が侵害されているからです。人は、自分の中にある「こうあるべきだ」「こうしてほしい」という基準が守られないときに、不快感を覚えるものです。例えば、次のようなシチュエーションで感じるイライラも、その背景にはあなた自身の価値観があります。職場での例:「仕事をしない人、要領が悪い人にイライラする」→ 公平性や責任感を重視している恋愛、夫婦間での例:「彼氏や旦那、妻にイライラする、またはそんな自分にイライラする」→ パートナーシップのバランスを求めている友人関係での例:「注意されるとイライラする」→ 自分への理解や思いやりを期待しているこのように、イライラの背景には、自分の正しさや価値観が隠れています。では、イライラの原因を深掘りするために、次のような質問を自分に投げかけてみましょう。その状況でイライラするのは、私がどんなことを大切にしているからだろうか?多くの人は、イライラを不快で制御不能な感情として捉えがちです。しかし、実際にはイライラは、自分が大切にしているものを示してくれるポジティブなシグナルでもあります。その価値観を認識し、「なぜこれを大切にしているのか」と考えることで、感情を冷静にコントロールできるようになります。<具体例>その状況でイライラするのは、私がどんなことを大切にしているからだろうか?(例:約束の時間を守らない彼氏に対して)→ 「時間を守ることは礼儀だ」と考えているからその状況でイライラするのは、私がどんなことを大切にしているからだろうか?(例:職場での曖昧な指示に対して)→ 「明確なコミュニケーションが必要だ」と感じているからEさんのケース|職場でのイライラの原因となる価値観の発見コーチングで相談を受けたEさんのケースを例に、職場で感じるイライラの原因とその対処法を具体的に見ていきましょう。Eさんは職場でしばしばイライラを感じ、それが以下のような問題に発展していました。気分の落ち込みにより、仕事に集中できないそのせいで、周りに迷惑をかけていると感じるイライラを制御できない自分に嫌でさらにイライラするこれらの感情が積み重なり、Eさんのストレスは限界に近づいていました。<ステップ1:状況を特定する>まず、Eさんに「どんな時に特にイライラを感じるのか」を具体的に振り返ってもらいました。その結果、特定されたのは以下の状況でした。シーン:職場でAさんがミスをした際、Bさんがそのミスを責めるような発言をした。感情:Bさんの態度が理不尽だと感じ、イライラが止まらなくなった。Eさんは、この場面で自分の感情を整理することが難しかったと言います。<ステップ2:大切な価値観を見つける>次に、Eさんのイライラの背景にある価値観を探りました。質問:「その状況でイライラするのは、あなたが何を大切にしているからですか?」Eさんの答え:「人の行動を注意するには、自分自身がその行動をできていないといけない」Eさんは、Bさんの態度が「自分の行動と矛盾している」と感じ、これがイライラを引き起こしていたのです。この価値観は、Eさんにとって公平性を大切にする気持ちを表しています。この価値観に気づいたEさんは、自分のイライラをただ制御不能な感情として捉えるのではなく、「自分が大切にしていることが侵害された結果」として理解することができました。このポジティブな捉え方により、Eさんはイライラの根本原因をコントロールし、建設的に対処する方向へ進むことができるようになりました。イライラした時の対処法②|即効で解消できる簡単3ステップ自分の大切な価値観を理解することで、感情に冷静に向き合うことができます。その結果、イライラをコントロールすることが格段に簡単になります。ここから、イライラをしずめる上で特に重要なのは、「イライラしている状態」と「落ち着いている状態」の違いを発見することです。この差を明確に認識できれば、イライラを感じたときに具体的なコントロール方法を選べるようになります。1.イライラする感覚をイメージ化するイライラをコントロールする第一歩は、その感覚を具体的にイメージ化することです。これにより、感情を客観視し、適切に扱いやすくなります。次の質問を使って、イライラの感覚を具体的に捉えてみましょう。このイライラを身体のどこで感じるだろう?(例:胸、喉、胃、頭など)このイライラに色や形があるとするとどんな感じだろう?(例:黒くて平べったい、赤くて尖った感じなど)実際にやってみると、例えばこれらの状況でイライラの質に違いがあることに気づけるはずです。職場で仕事をしない人に対するイライラ家族に対してのイライラ空腹の時のイライラ質問に答えることで、イライラの感覚が漠然としたストレスから、具体的なイメージとして認識できるようになります。<Eさんのケース>Eさんの場合、職場での人間関係が原因で強いイライラを感じていました。その感覚をイメージ化した結果、以下のような特徴が明らかになりました。身体のどこで感じますか?→ 胸のあたり色や形はどんな感じですか?→ 黒色で、平べったい形感情をイメージ化することで、イライラは「目に見えない不快感」ではなく「扱える対象」に変化します。この変換により、感情をコントロールする準備が整います。Eさんの場合も、胸のあたりで感じる黒いイライラを明確にすることで、その感覚に焦点を当て、次のステップで解消する準備ができました。2.落ち着いている感覚をイメージ化するイライラの感覚をイメージ化した後は、その対極にある「落ち着いている感覚」を具体的にイメージします。このプロセスは、感情をコントロールし、冷静さを取り戻すために非常に効果的です。その落ち着いた状態をイメージ化するために、次のような質問を自分に問いかけてみましょう。この落ち着きを身体のどこで感じるだろう?(例:胸、頭、背中など)この落ち着きに色や形があるとしたらどんな感じ?(例:クリーム色で柔らかい、青くて涼しげな形など)これらの質問を通じて、理想の心の状態を視覚的に具体化します。<Eさんのケース>Eさんの場合、理想の落ち着きの感覚を次のように認識しました。身体のどこで感じますか?→ 頭の後ろあたりにふわっとした感覚その色や形はどんな感じですか?→ クリーム色で、ぼやっとしているEさんはこの感覚を明確にイメージすることで、「イライラしている状態」と「落ち着いている状態」の違いをより鮮明に意識できるようになりました。3.イメージの変化でイライラを落ち着か せる「イライラしている感覚」と「落ち着いている感覚」をイメージ化できたら、次にそれを切り替える練習を行います。感覚のイメージを意識的に変えることで、心の状態をシフトさせ、イライラを抑えることが可能になります。<感覚を切り替える具体的な手順>イライラする感覚に集中するイライラが止まらない時の色、形、感覚を思い出す。その感覚を身体のどこで感じているか意識を向ける。落ち着いた感覚を思い出す理想の落ち着きの感覚(色や形、場所)を思い浮かべる。その感覚をより鮮明にイメージする。感覚をシフトさせるイライラの色や形を、落ち着きの色や形に置き換えるイメージをする。イライラを感じる場所を、落ち着きを感じる場所に移動させるような感覚で行う。このプロセスは、感情のリハーサルとして何度も行うことが大切です。リハーサルが成功すれば、実際にイライラした場面でも同じ方法を使って感情をコントロールできるようになります。<Eさんのケース>Eさんにもこのプロセスを実践してもらいました。以下はその結果です。イライラする感覚に集中する→ 胸のあたりで感じる黒く平べったい感覚に意識を集中。落ち着いた感覚を思い出す→ 頭の後ろあたりで感じるクリーム色のぼやっとした感覚に集中。感覚をシフトさせる黒く平べったい感覚を、クリーム色のぼやっとした感覚に変化させる。胸のあたりで感じる感覚を、頭の後ろあたりに移動させる。Eさんは、「Bさんの態度に対して心が何も反応しなくなり、おだやかでいられている」感覚を得られました。その結果、自分のことに集中できるようになり、イライラが起きにくくなったと感じるようになりました。あわせて読みたい行き場のない怒りの原因|思い出し怒りや蔑ろにされる怒りの鎮め方セッション後のEさんの変化Eさんはこの時、初回コーチングでしたが、イライラした時の簡単な対処法を見つけることで、「もっと自己理解したい」「もっと自分を好きになりたい」という、さらに大きな望みや目標が生まれてきました。ひとりでは考えても思いつかなかった考えや答えが、コーチングをすると出てきました。もっと自己理解を深めたい。そして、もっと自分を好きになりたいと感じてます。人生いくつになっても悩みは尽きないものですが、同じく望みも尽きないものです。どうせなら、未来に希望を持てるワクワクな望みをたくさん持ちたいものですよね。※クライアントさんには、事前にセッション内容をブログに掲載することの許可をいただいていますまとめイライラの感情は、単なる不快感ではなく、あなたが大切にしている価値観を教えてくれる重要なサインです。イライラの原因を掘り下げ、感情をコントロールすることで、自分の成長につなげることができます。イライラの根本原因は、自分の価値観が侵害されることイライラを感じる場所、色、形を具体的に捉えることで、感情を扱いやすくする落ち着いている感覚を明確にすることで、心の切り替えをスムーズに行えるイライラの感覚を落ち着きの感覚に置き換えるプロセスを繰り返し練習するイライラを抑えるだけでなく、その感情を自己理解や成長につなげる視点を持つオススメ関連記事悩みがない人が実践する悩みを消す方法|悩みすぎるあなたへ贈る解決のヒント自分を好きになれない人必見!心理学が教える自分を好きになる方法